箱根をより楽しむための「カルデラ地形」【りか旅・神奈川】

「箱根に行くことはあるけれど、学びのある旅にしたいなぁ。誰かおすすめの旅行先を教えてくれないかなぁ。」

そんな悩みを解消します!

今回は箱根について紹介します。箱根といえば神奈川県の西部に位置する温泉や自然を楽しむ行楽地として有名です。東京からアクセスもよく、箱根に何度も足を運んだことがある方もいるでしょう。少し大人の旅をするために、箱根について科学や技術で楽しみかたを紹介したいと思います。

なお、僕は「りか旅」と銘打って理科をテーマに旅をしています。これまで6カ国、13都市を旅しました。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。実際に足を運んで周った体験を基に記事を書いていますので、記事の信頼性が担保できるかと思います。

それではいきましょう!

箱根をより楽しむための「カルデラ地形」

箱根は国立公園に指定されているほど、その地形や生物たちが多様です。せっかく、箱根に行ったからには楽しみながら学んでみましょう!

火山を学ぶ

ファイル:20150604箱根山woe.jpg - Wikipedia
箱根は教科書的なカルデラ地形ですね。外輪山が連なっており、その中にカルデラ湖や内輪山がみられます。

箱根といったら、火山ですね。箱根はカルデラ地形という、かつて大量のマグマに大地が沈没する「カルデラ噴火」によって形成された地形です。このカルデラ火山によって周りの山々を含めた地形が形成されました。カルデラ地形の特徴としては、外輪山と内輪山という山地があることです。周囲を円形に山々が連なり、その内側には台地やカルデラ湖が広がっていることです。

箱根への路は外輪山の間を縫っています。道路も鉄道も「つづら折(葛折り)」と呼ばれるようにジグザクと上がっていきます。そして、外輪山を抜けるといつの間にか台地になっているのです。

ちょうど箱根湯本のあたりが外輪山の隙間です。外輪山としては、塔ノ岳や金時山、大観山などが有名ですね。内輪山には大涌谷などがあります。

温泉を学ぶ

大涌谷

箱根といったら温泉ですね。温泉を学ぶなら大涌谷にいきましょう。大涌谷は日本有数の噴気孔です。煙が立ち上っており、今でも活発な火山であることを身をもって感じることができます。

地熱を利用した黒いゆで卵「黒玉子」がつくられています。温泉に含まれる硫黄と鉄分が結びつき黒い硫化鉄となり、殻が黒く変色しています。1個食べると7年寿命が延びると言われています。

博物館で学ぶ

箱根には学びのスポットがたくさんあります。博物館にいって学びを深めてみましょう。

箱根ジオミュージアム

大涌谷の大涌谷くろたまご館にあるのが箱根ジオミュージアムです。

たった100円で入ることのできる小さなミュージアムです。しかし侮ってはいけません。展示が充実していて、30分いても飽きないほど。箱根の自然や歴史、温泉の仕組み…箱根には学びがたくさん詰まっていることがわかります。

神奈川県立生命の星・地球博物館

箱根にいった際には、帰りにぜひ寄りたいのが「神奈川県立生命の星・地球博物館」です。ここには大地をつくる鉱物や地球に住む生物たちのダイナミックな展示があります。空間の使い方が圧倒的です。

展示の工夫にも驚かされました。地球全体のダイナミックな展示でテンションをあげられ、神奈川の岩石や動植物の展示でそれらが身近なものだと感じ、最後に共生について学びます。外にでると周りの山や河の見え方が変わっていました。

温泉地学研究所

神奈川県立生命の星・地球博物館のすぐ隣にあるんが温泉を研究している研究所「温泉地学研究所」です。この研究所には展示室が設けられています。人も少なく落ち着いた雰囲気を味わえます。温泉研究の道具や鉱物や地層の展示など勉強になります。入り口でお出迎えしている剥ぎ取り標本は迫力満点です。

温泉好きは必見です。地質調査などについて計測器などの展示や温泉などの運営に研究所が関わっていることがわかります。

他にも学びがたくさん

箱根はたくさんのコンテンツが揃っています。実は、1日ではとても回りきれないですね。何度足を運んでも新たな発見があるのが、箱根の魅力でもあります。

温泉事業のきっかけは渋沢栄一

箱根がこれだけの観光地になったのは、温泉の名所であるからでしょう。実はこの事業は、渋沢栄一とも関わりが深いです。渋沢栄一は2024年から新1万円札の顔になる明治の顔ですよね。

そのきっかけは渋沢栄一です。1880年、仙石原に牧場「耕牧舎」を開設しました。後に、この「耕牧舎」が組織をかえ、大涌谷の温泉を供給している会社である「箱根温泉供給」となりました。

箱根山戦争

箱根ロープウェイ

小田急電鉄といえばロマンスカーというほど、代表的な観光特急列車ですね。箱根湯本駅まで乗り入れています。

小田急電鉄は1923年に開業しました。利光鶴松(としみつ つるまつ)という実業家が、郊外の鉄道路線事業の将来性に目をつけて、開発を始めたそうです。現在の京王井の頭線も利光によって企画された鉄道路線です。

「箱根山戦争」が起きたことでも有名です。箱根への輸送において、小田急グループと西武グループとが対立した事件です。1950年〜58年に起こった衝突です。東急グループも小田急側についたことで、大きな衝突になりました。小説化や映画化もされるほど、社会現象になりました。まずはバス事業で、箱根登山鉄道が運営するバス(小田急、東急サイド)と伊豆箱根鉄道が運営するバス(西武サイド)の争いが起きました。初めは、戦前から箱根登山鉄道の独占を壊すため、伊豆箱根鉄道のバスが乗り入れることになり衝突が始まります。一方で、箱根登山鉄道バスは伊豆箱根鉄道の所有する有料道路へと乗り入れるルートを始めます。「やられたらやり返す、倍返しだ!」とは正にこのことですね。遊覧船では、元々は伊豆箱根鉄道(西武サイド)が独占していましたが、ここに箱根登山鉄道(小田急、東急サイド)も参入することになりました。これで箱根山戦争は激化します。

運輸大臣も巻き込んでの大騒動になりましたが、最後はロープウェイで決着がつきます。箱根ロープウェイが小田急サイドで開発されたことで、一歩有利になりました。また、神奈川県が伊豆箱根鉄道の自動車道路を買収しました。この箱根山戦争で多くの訴訟がおこなわれ、その多くは西武グループが勝ちました。しかし、経済的には小田急グループに多くの利益をもたらせたことになります。

今でも、ルートは二つありますよね。伊豆箱根鉄道が小田原〜駒ヶ岳登り口までバスを利用し、そこから駒ヶ岳山頂を経由して芦ノ湖から十国峠を経由して熱海に抜けるルートは「スカイラインコース」と呼ばれています。一方の小田急側では、箱根登山鉄道〜ケーブルカー〜箱根ロープウェイ〜箱根観光船〜箱根登山鉄道バスを利用するコースを「箱根ゴールデンコース」と呼んでいます。今でも箱根山鉄道の名残が残っているのですね。

https://www.odakyu-travel.co.jp/recommend/detail/612
https://www.env.go.jp/park/guide/hakone/recommend/07.html

最後に

都心からのアクセスもよく、自然豊かな観光地ですね。温泉でゆっくりしながら自然を眺めていると幸せな気持ちになりますね。これからも人気の観光地であり続けるでしょう。

なかなか遠出も大変ですが、箱根の大自然の中に出かけてみてはいかがでしょうか!

[JTBパブリッシング]のるるぶ箱根’21 (るるぶ情報版(国内))
ガイドブックでポイントをチェックするのもいいですね!

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