「科学や技術の研究や開発では実験が必要不可欠だけど、教科書が見当たらないなぁ。良い参考書はないかなぁ」
そんな悩みを解消します!
今回は実験機器について学べる教科書について紹介します。測定器を触ったことがある人も多いですが、改めて学ぼうとするとどうして良いかわからなくなりますよね。僕も測定器を学ぶたびに検索して勉強していましたが、頭がなかなか整理できずに困っていました。教科書を一冊持っておくと、計測器の分類やデータの取り扱いなどがしっかりとわかるようになります。
なお、僕(@おとな理科のおたれ)の物理学の勉強歴は13年ほど。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。こういったバックグラウンドなので、記事の信頼性が担保できるかと思います。
それではいきましょう!
実験のための必携「計測」参考書4選
ディジタル時代の電気電子計測基礎(松本佳宣、2020)
「ディジタル時代の」といっている通り、計測器を絞っています。昔ながらのアナログ計測器は使われていないことが多いです。アナログ計測器は説明がしやすいため、多くの参考書ではアナログ計測器が中心になってしまっています。この本ではアナログ計測器を取り除き、現代の実験者が必要な情報をわかりやすくコンパクトな一冊にまとめています。
著者が慶應大学の学部2年生の授業でおこなっている内容をまとめたものです。
一冊だけ購入するならこの本がお勧めです!
電気電子計測 (中本高道&山中高夫、2009)
最も定番の教科書です。シンプルにまとまっているので、必要な内容を丁寧にまとめてあり、とても理解しやすいです。欠点は情報が少し古いので、通信方式などの説明が時代遅れになっていることです。情報が少し古いとはいえ、2000年代の技術もしっかり理解しておく必要があります。そのため、この一冊は是非とも持っておきたい一冊です。
図解 測定器マニュアル(佐藤一郎、2011)
テスタ、絶縁抵抗機(メガー)、クランプ式電流計、照度計、騒音計、シンクロスコープ、オシロスコープなどといった基本的な測定機器について学ぶことができる参考書です。馴染みのある測定機器もあれば、使ったことのない測定器もありますよね。幅広く装置の原理がわかるようになります。
まだアナログ時代の名残が強く、アナログ測定器の解説が充実しています。デジタル測定器についても解説がありますが、発展途上で技術が変わりつつある時期ということもあり、詳細は省かれています。
はじめて学ぶ電気電子計測(松川真美&小山大介、2019)
データの取り扱いなど、他の専門書で飛ばしがちな測定の基本についてもページを割いてあります。不確かさの説明が丁寧なことも
また、各測定器の詳細がわかりやすく説明されています。回路図も本質的なところだけを残しており、理解しやすいです。初心者向けに優しい図になっていますので、安心して読み進められます。
「測定と計測の違いは?」曖昧な知識をしっかり理解
計測という言葉に似ているものとして、測定という言葉がありますね。文字でみると、計測とは計る(count)と測る(measure)で成り立っていますね。こういった曖昧な言葉の定義を紹介したいと思います。
「JIS技術用語」によると計測(instrumentation)は「目的を持って、物事を量的にとらえるための方法・手段を考究し実施し、その結果を用いること」となっているそうです。つまり、下記のように表されます。
計測 = 実験計画 + 測定 + 分析・評価
計測とは、測定(実際に測定器で数値を得るための単純作業)に加えて、その手法に対する理解や不確かさ評価を含めた分析についても含まれるのですね。
最後に
今回は実験機器について学べる教科書について紹介しました!
どれも薄めの本ですが、測定やデータ処理についても頭を整理してくれる本です。教科書を持って、計測器の分類やデータの取り扱いなどがしっかりとわかるようになりました!意外と計測の本が存在することを知らない人も多いですよね。
参考になれば幸いです!