夜空は不思議ですね。星々が輝き、都心から離れれば天の川銀河がぼやっとみえます。皆さんは、オルバースのパラドクスはご存知でしょうか。
オルバースのパラドックス
夜空が暗いのはなぜか。
これがオルバースのパラドックスの問いです。
20世紀前半まで、宇宙は無限に広がっている定常宇宙論というのが定説でした。無限の宇宙に無数の星があるという考え方です。そうであれば、指をさせばその方向にも必ず星があるはずである。無限に広がる森の中では、どこを見ても木がありますよね。無限に広がる宇宙の中では、どこを見ても星が輝いているはずでしょう。しかし、これは夜空の暗闇という観測事実と矛盾してしまいます。
これは一種のパラドックスです。夜もあらゆる方向から光が飛んでくるので、まるで昼のように明るいのではないかと考えられますね。しかし、実際はどうでしょうか。夜空を見ると、暗闇の中に星が瞬いています。
さて、
今回、参考にしたのはこの本です。アルカリーリの『物理パラドックスを解く』です。
歴史的に間違えられてきた
「遠くの星は小さくなるから」ではない
17世紀にケプラーは「宇宙は有限であり、実はそんなに星がない」という結論を出しました。
18世紀のハレーは、「遠くの星はより小さくみえるためである」という結論を出した。星が遠くに離れると小さくみえるので、星は小さくみえるので、暗くなるはずだ。しかし、この仮説はシェゾーによって否定された。計算したところ、確かに一つ一つの星は弱くみえるが、その一方で、遠くにいけばいくほど地球からある範囲に見える星の数が増えていく。つまり、遠くて星の光が弱くみえるからではない。
他にも、19世紀のオルバースが唱えた仮説があります。星間物質が、光を吸収して光が届くことを邪魔しているせいではないかという考えです。靄のような星間物質があるために、近い星の光はみえるけれど、遠くの光はみえないというものです。これもまた星間物質が放出するエネルギーを考えれば、否定される仮説でした。
こうして、3世紀もの間、人類がこのパラドックスに答えを出せずにいました。
定常宇宙論からビッグバン理論へ
実は定常宇宙論では、オルバースのパラドックスを解決できません。このパラドックスに対する答えは、ビッグバン理論によります。
宇宙が膨張しているからなのです。
現在では、ビッグバン理論が現在では定説ですね。遠い昔に宇宙がビッグバンを起こして、宇宙が膨張したという理論です。当時は定常宇宙論というのが一般的です。1964年に宇宙マイクロ波背景放射が発見されたことで、ビックバン理論が支持されるきっかけとなりました。
最後に
オルバースのパラドックスは、誰しもが理解できるパラドックスで面白いですよね。また、その理由がビッグバンによる宇宙膨張という結論であることも非常に教育的ですね。また、70年ほど前まで、ビッグバン理論は信じられていなかったことも興味深いです。相対性理論の帰着なのですが、なかなか受け入れられなかったことも面白いですね。また、数十年前まで宇宙が定常だと思われていたこと、全く定説がひっくり返ってしまったとは面白いことですね。
ここで学んだ僕たちは、「なぜビッグバンが起こったとわかるのか」と質問されたら、僕たちは「だって、夜空が暗いだろう」と答えればいいわけです。
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