医者から学ぶサウナの科学【初心者も納得】

「サウナって身体にいいのかなぁ。効果的な入り方や入浴方法、気をつけるべきことはあるかなぁ。」

そんな悩みを解消します!

今回はサウナについて紹介します。2019年にテレビドラマ「サ道」でサウナがテーマのドラマが公開されたり、芸能人の方々がサウナ好きを公表したりすることで最近はサウナブームが訪れていますね。せっかくのサウナですから、メカニズムを知ることで適切な入浴方法を学ぶことができます!「なぜか頭が働かないなぁ」と悩んでいる人、もしかするとサウナで解消するかもしれません。

なお、僕(@おとな理科のおたれ)の物理学の勉強歴は13年ほど。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。こういったバックグラウンドなので、記事の信頼性が担保できるかと思います。

それではいきましょう!

医者から学ぶサウナの科学

今回参考にした教科書は「医者が教えるサウナの教科書」という本です。医学の分野は日進月歩変化しています。また、参考文献も多数引用していたり、事実と著者の考えを明確に分けて書いていますので、信頼性の高い本だと思いました。

[加藤 容崇]の医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?

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サウナのメリット

  1. 身体に良い
  2. 脳にも良い

サウナのメリットは身体への影響だけに留まりません。脳にも良いということが最近わかってきたのですね。文献に基づきサウナの効果をまとめたこの教科書がサウナー(サウナずきの人たち)のバイブルになりそうですね。

脳の疲労回復

脳疲労を解消するメカニズムは、デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network 以降 DMN)の活動を低下させることにあるそうです。

DMNとは呼ばれる脳が無駄にエネルギーを消費している神経回路のことです。脳のエネルギー消費の60~80%を占めており、意識的に脳を働かせているときよりもエネルギーを消費しているのだそうです。エンジンをかけたまま停止しているアイドリング状態の自動車のようですね。

この余計なDMNの活動がサウナによって抑制することができます。つまり、エネルギー効率アップということですね。確かにサウナの後は、頭がすっきりしているような気がします!

決断力・集中力創造力の向上

α波の周波数が正常化することによって、決断力や集中力が向上する効果があリマス。またp波が活発になることで、想像力がアップするという効果もあるそうです。

メンタルの安定

自立神経が鍛えられることによって、メンタルが安定する効果があるそうです。うつ病などの予防や改善にも効果があると期待されています。

睡眠の質の向上

睡眠の質は、DPG(Distal-proximal temperature gradient) という末梢-深部の体温勾配によって決まるそうです。つまり、身体の芯の温度は冷えているのに、指先が温まっている状態です。

身体の疲労回復

身体にも良いそうです。サウナの熱で筋肉が和らぎ、血流が良くなります。肩凝り、腰痛、眼精疲労改善など効果は抜群ですね。

感覚が敏感になる

感覚が研ぎ澄まされるというサウナーの方も多いそうです。僕自身はまだ経験できていません。どうやら、五感が冴えるようになるそうです。こちらは科学的な根拠はないそうですが、多くのサウナーの方が感じていることのようですので、いずれ解明されるかもしれませんね。

肌がきれいになる

体温が上がるとヒートショックプロテイン(Heat Shock Protein 以降 HSP)が生成されます。HSPは細胞の修復をおこなうため、肌が綺麗になる効果があります。「エステよりサウナ」ですね!

痩せやすくなる

甲状腺ホルモンの温度があがり、代謝が良くなることで痩せやすくなるそうです。「ダイエットよりサウナ」ですね!

病気のリスク低減

  • 心筋梗塞 52% リスク減少
  • アルツハイマー 65% リスク減少
  • 認知症 66% リスク減少
  • うつ病 77% リスク減少

なんとサウナへの入浴が習慣化すると病気のリスクが大きく減るそうです。しかし、週に4回通っている場合の効果だそうです。

サウナの入浴方法

  1. サウナ→ 水風呂→外気浴 × 3~4セット
  2. 水分をとる

サウナの入浴における原則は「気持ちが良いことをする」ことだそうです。

サウナ、水風呂、外気浴のそれぞれの時間の目安は10分、1分、5~10分だそうです。しかし、時間はあくまでも参考で、自分の身体の反応をみるのが良いそうです。指標となるのが脈拍です。サウナでは脈拍が通常の2倍、水風呂から出る目安は脈が通常に戻ったときです。脈拍の代わりに、感覚を頼りにするのも良いそうです。サウナでは背中の真ん中が温まったら、水風呂では気道が冷えるのを感じたら、外気浴では足が冷たく感じたら、次の行動へ切り替えるのが良いでしょう。

最後のセットは、サウナ→水風呂(10秒ほど)→水シャワーとすると身体が冷えずに温まったまま帰路につけるそうです。

サウナ探しのポイント

  1. (できれば)ドライサウナよりもウェットサウナ
  2. (できれば)水風呂は水温16℃

方式はドライサウナに比べて、ウェットサウナが良いそうです。深部体温が上がりやすいことや、皮膚や粘膜の乾燥防止のためです。

また水風呂の温度は16~17度が適切だそうです。サウナと水風呂の温度差が小さいとサウナの効果が享受しにくく、あまりに冷たすぎるのもサウナ中毒になりやすいそうです。

準備のポイント

  1. 身体を洗う
  2. サウナ〜水風呂〜外気浴の経路確認

身体を洗うのはマナーですね。また、温かいお湯を浴びることで副交感神経が活性化され、エンドルフィンの分泌を促進する効果があります。身体を洗うことを忘れずにしてくださいね。事前に入浴するのも副交感神経を刺激して良い効果があるそうです。

また経路確認も重要です。

サウナのヒント

  1. ヒーターから離れる
  2. できれば高い場所を探す
  3. できれば足をあげる

1つ目のポイントはヒーターから離れることです。ヒーターの近くは、身体が局所的に温まってしまうので注意が必要です。できればヒーターから離れて温度が均一なところで身体を温めましょう。2つ目は、できれば高い場所に座ることです。サウナの温度は一段上がるにつき10℃ほど上がります。なるべく高い温度に身を置くことが望ましいので、高いところに座りましょう。3つ目は、できれば足を上げることです。段差に腰掛けると、低い位置にある足が温まりにくいのです。できれば体育座りやあぐらをかくことで足を上げて、足もしっかり温めましょう。

僕はサウナはじめの頃は、温度が高い方が望ましいためヒーター近くが良いのかと思ってしまいました。また、水風呂で足が冷えすぎて痛くなってしまったものです。足を上手く温められずにいたのですね。足を上げるようになってからは、水風呂での足の冷えは無くなりました。

水風呂のヒント

  1. 入る前にぬるま湯で身体を流す
  2. 息を吐きながら入る
  3. なるべく身体を水平にする

水風呂に入る前には必ず身体を流してください。息を吐くと、横隔膜が上がり、心臓の負担が減るそうです。水風呂も深さによって温度差があるので、なるべく身体を水平にして均一に身体を冷ますことが望ましいそうです。

外気浴のヒント

  1. 身体を寝かせること

外気浴では、血の巡りを良くするために身体を寝かせるようにしましょう。立っている状態では、重力に逆らって血をめぐらせる必要があるので、心臓に負担がかかります。横になって、全身に血液をめぐらせましょう。

サウナのメカニズム

  1. 自立神経(交感神経と副交換神経)の変化
  2. 深部体温の上昇

自律神経

自律神経の変化によって、ホルモンや神経伝達物質の血中濃度が変化します。これが、効果的なんですよね。アドレナリンは興奮、疲れや痛みが感じにくくなるホルモン・神経伝達物質です。また、ノルアドレナリンは活動性、思考力、集中力に関係するホルモン・神経伝達物質です。エンドルフィンは脳内麻薬(モルヒネ同様の作用)ともいわれる神経伝達物質です。

深部体温

深部体温の上昇もサウナの効果です。深部体温の一時的な上昇は後に、DTGをつくります。これが睡眠の質を向上させます。

また、深部体温の上昇はヒートショックプロテイン(Heat Shock Protein 以降 HSP)を促進させます。体温が38度を超えるとHSPがでてきます。これが細胞の修復をおこなってくれるので、肌が綺麗になったり、免疫力向上につながります。サウナに何回入れば良いかは、この「38℃」が基準になります。サウナ1セットにつき、深部体温は0.6℃上昇します。

最後に

僕も最近はすっかりサウナーです。サウナのメカニズムを知ることで、より効果的な入浴ができそうですね!