新幹線で学べる科学

仕事やプライベートで新幹線をよく利用する人も多いだろう。新幹線の技術的なウンチクが一つや二つあれば、長旅も楽しめるのではないだろうか。今回は、調べた3つのウンチクを紹介したいと思う。これでまた少し日々の生活が楽しめるわけだ。

ポイントは以下だ。

  1. 小さいパンダグラフ
  2. 車体傾斜機構とカント
  3. 電源周波数問題

参考文献は以下だ。

新幹線の小さなパンダグラフ

パンダグラフは知っているだろうか。新幹線だけでなく全ての電車にはパンダグラフがついている。電車の上に張られた架線からパンダグラフを通して電力を供給しているのだ。”電車”の特徴ともいえる。

これから電車に乗る人は、車両の上をみてみよう。アンテナのようなものが車両と架線をつないでいる。それがパンダグラフだ。電車が走行している時もパンダグラフは架線から離れない。パンダグラフはヒンジ部が伸び縮みして架線にならい、電力を安定して供給できる。

このパンダグラフだが、新幹線のパンダグラフは在来線のものより小さい。これは騒音対策のために小さくしているだ。パンダグラフは騒音発生の主要因なので、小型化して風をきる面積を減らしている。しかし、新幹線の架線は5.0±0.1mに統一されているため、あまりパンダグラフが上下することがないそうだ。この架線高さの統一も小型化に一役かっている。

快適な車両のために。遠心力の対策

新幹線の車両は快適に感じる。あれだけ高速だが、不思議なものだ。新幹線のような高速の列車では、遠心力対策がカギになる。

新幹線のように、高速であると感じる遠心力は大きい。カーブの度に、右に左に力を感じることになる。そこで、快適さのためには、カーブにおいて遠心力を感じさせないことが大切である。遠心力を感じさせないようにするには、ちょうどバイクがカーブを曲がる時のように車体を傾かせることである。そうすると、力の向きが乗客にとって下向きになるために不快さを感じない。

車両を傾かせるために、新幹線側には車体傾斜装置、線路側にカント機構がある。

車両には、車体傾斜装置というものがある。台車と車両の間に振動対策のための「まくらバネ」である。このまくらバネは、圧縮空気の弾性を利用した空気バネであり、台車から伝わってくる振動を抑制している。この空気バネは、車体傾斜装置に利用される。カーブでは、外側の空気バネを膨らませ車体を傾かせているのだ。

線路には、カント機構がある。これは、カーブにおけるレールの内外周の高さを変えるという機構である。内側に比べて外側のレールが高くなっているのだ。その差は、200 mmと大きい。身長で言えば、160cmと180cmの差だから大きい差に感じるだろう。例えに対する批判は受け付けない。これがカント機構である。

このような機構で、カーブでは車両を傾けることで遠心力対策をおこなっているのだ。

新幹線の電源周波数問題

この時代では、全ての電子機器が電源周波数なんて気にせず生活できるようになった。それでも「海外旅行では変圧器が必要だ」なんて話も聞いたことがあるだろう。もっとも、最近では多くのACアダプタが世界中で使えるようになっており、海外旅行に向けて変圧器を買う人も少なくなったかもしれない。ちなみに私は、まず間違いなくホテルで借りられることを知っている(保証はしない)ので、変圧器を買ったことも買おうとしたこともない。

さて、話は逸れたが、日本の電源周波数は、東日本で50 Hz、西日本で60 Hzであることは知っているだろうか。そうすると東日本と西日本にまたがる新幹線は、2つの電源周波数に対応する必要がでてくる。

東日本と西日本にまたがる新幹線は2つ、東海道新幹線と北陸新幹線だ。これらの新幹線はそれぞれ電源周波数対策をおこなっている。

東海道新幹線では、静岡県富士市の富士川橋梁が境目にある。開発当時は、技術的に難しく、車両軽量化のために車両に周波数変換器は搭載していない。そこで、東日本では周波数変換変電所を用意して60Hzに変換している。

北陸新幹線では、佐久平あたりに境目がある。こちらは東海道新幹線とは異なり、車両で周波数を変換している。技術進歩により周波数変換機を車両に乗せられるようになったためだ。こちらも車両内では60Hzに変換しているのである。

いずれの新幹線も60 Hzに統一している。面白いのは、開通した時代の技術の差によって、東海道新幹線は変電所を設置し、北陸新幹線では変換機を車両に搭載していることだろう。

最後に

どうだろう。少し、新幹線について語れるようになっただろうか。より詳しく知りたくなった人は調べてみてほしい。日常生活がちょっとでも面白くなったら幸いだ。

参考文献は以下である。