簡単にプラスチックがわかる【熱可塑・熱硬化】

「プラスチックってどうやって分類すれば良いのだろう。そういえば、温めると柔らかくなるプラスチックと、硬くなくプラスチックがあるような気がする。誰か簡単に教えてくれないかなぁ」

そんな疑問にこたえます。

今回は、熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックについて紹介します。プラスチックの大分類をするときには、これら2つに分けます。プラスチック(樹脂)の基礎ともいえるでしょう。最近は、3Dプリンタなどの利用が進みプラスチックの利用も進んでいる印象があります。もっとプラスチックに詳しくなりたいですね。

それではみていきましょう

プラスチックの大分類

プラスチックは2つに分類できます。 熱可塑性(ねつかそせい)プラスチックと熱硬化性(ねつこうかせい)プラスチックです。熱で柔らかくなるか、硬くなるかという性質で分類されます。「プラスチック」と「樹脂」は全く同じ意味なので、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂とも呼ばれます。

なんとなく、プラスチックは熱で柔らかくなるものという印象がありますよね。ですから「熱で硬くなるプラスチックがなんてあるのか」という驚いてしまいますね。

それぞれのプラスチックについてみていきましょう。

熱で柔らかくなるプラスチック:熱可塑性プラスチック

熱可塑性プラスチックは熱で柔らかくなるプラスチックです。熱可塑性プラスチックは、ポリマー(重合体)と呼ばれる鎖で構成されています。ポリマーは共有結合という強い結合(一次結合)でつながりますが、同時にファンデルワールス力などの弱い結合でもつながっています(二次結合)。ちなみに、結びつきの強さを表す結合エネルギーは、100倍ほども違います。

この熱可塑性プラスチックを熱すると、二次結合が解け分子が動きやすくなるので、可塑性を示すのです。

熱すると柔らかくなるので、熱には弱いという欠点があります。しかし、熱して何度も再成形可能であるという利点もあります。

日常生活で身の回りにあるプラスチックの多くは熱可塑性プラスチックであることが多いです。たとえば、ペットボトル(PET)、レゴブロック(ABS樹脂)、ビニール袋(ポリ塩化ビニル)などです。

ほかにも「プラ板」を知っているでしょうか。プラスチックに絵を描いてオーブンで焼くとキーホルダーができるという手作りおもちゃの定番です。あれはスチロール樹脂という熱可塑性樹脂を使っています。発泡させれば発泡スチロールになりますね。

硬くなるプラスチック:熱硬化性プラスチック

熱すると硬くなるプラスチックもあります。

熱可塑性プラスチックとは異なり、熱硬化性プラスチックは架橋構造(かきょうこうぞう)をとります。なので、熱硬化性プラスチックは別名「網状プラスチック」ともよばれます。 熱硬化性プラスチックを熱しても、分子の運動が架橋構造によって抑制され、可塑性を示さないのです。

熱硬化性プラスチックは、熱に強い利点がありますが、一度硬化すると再成形はできないことが欠点です。ちょうど熱可塑性プラスチックと利点と欠点が入れ替わっています。

実はこの熱硬化性プラスチックも身近なところで見つけられます。

スポンジや断熱材(ポリウレタン)、接着剤(エポキシ樹脂)、麻雀や将棋の駒(ユリア樹脂)などがあります。

最後に

身の回りにもプラスチックは溢れています。プラスチックは種類が多くてなかなか覚えられないですが、その特徴をおさえて分類していけば、それぞれのプラスチックがわかってきます。

今回紹介した熱可塑性、熱硬化性というのは、プラスチックの一番大きな分類です。この記事が皆さんのプラスチックに詳しくなっていく、きっかけになれば嬉しいです。

この記事は、以下の文献を参考に作成しました。[1]本間精一. プラスチック材料大全. Nikkan Kōgyō Shinbunsha, 2015.

文献紹介

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