【紅白】科学技術で甦る美空ひばり【AI美空ひばり】

美空ひばりさんは昭和を代表する国民的歌手ですね。1989年に52歳という若さで亡くなりました。そして、2019年に没後30年を迎えたのです。2019年年末のNHK紅白歌合戦では、美空ひばりが新曲を披露します。なんとAIで復活した美空ひばりさんです。NHKスペシャルでも話題になりましたが、このAI美空ひばりは技術的にすごいです。

以下のような最新技術が、惜しげもなく投入されています。

  1. ボーカロイド×ディープラーニング
  2. 3Dモデリング×モーションキャプチャ
  3. 3Dホログラム

21世紀を代表する多くの技術が惜しげも無く使われていますね。

また、技術からは逸れますが、曲が素敵ですね。「あれから」という曲の歌詞は、最近はAKBグループのプロデューサーとしても知られる秋元康さんが作詞しています。美空ひばりさんの最後のシングル「川の流れのように」も作詞をされているのです。歌詞を読むだけで、感動してしまいます。

生きるというのは別れを知ること 愛しい人よ あれからどうしていましたか? 私も歳をとりました 今でも昔の歌を 気づくと口ずさんでいます 振り向けば幸せな時代でしたね

そして、この曲はメロディが素晴らしいですよね。作曲は佐藤嘉風さんという方で、とても優しい素敵な曲ですね。

さて、この記事では技術についてみていきましょう。

ボーカロイド×ディープラーニング

ボーカロイド(VOCALOID)とはYAMAHAの音声合成技術の総称です。2000年代に開発、実用化された技術です。メロディと歌詞を用意すれば、声のデータを使って、歌声が出来上がります。有名なボーカロイドには初音ミクがいますね。

そして、2010年代の革命であるディープラーニングくが利用されています。ディープラーニングをさせて、メロディやテンポ、ビブラートなど様々な情報を人間では把握もできないほど深層な学習をしているのです。ボーカルのみの音源をレコード会社から提供してもらい、学習データにしていまったそうです。また、歌の途中で語りのパートがありますが、ここは歌の音源と違って、学習データが乏しかったそうです。そこで、生前に息子である加藤和也に送った肉声テープを学習データにしているそうです。(ディープラーニングの記事も見てみてください!)

3Dモデリング×モーションキャプチャ

3Dモデリングモーションキャプチャは、映画界などで大きなトレンドになっていますね。たとえば、2019年ヒットの映画「アラジン」では、ランプの魔神ジーニーの動きをはじめ色々な場面で利用されています。

3Dモデリングでは、多くの映像データを学習データとして、表情のモデル化をディープラーニングを用いておこなったそうです。

モーションキャプチャは、自然な動きをつくるためのデータ取得です。歌を歌っている際の、身振りなどデータの取得をおこないました。モーションキャプチャでは、天童よしみさんの協力でデータとして取得しています。

3Dホログラム

映像を4Kプロジェクターを使って、スクリーンに投影しています。ホロゴースという紗幕スクリーン(透過型のスクリーン)です。

この方法では、セットによって、影のでき方や光の当たり具合が変わってしまいます。そこでなんと、セットに合わせた光と影の計算・設計がなされているのです。

3Dホログラム技術が一段と感動を生んでいますね。近づかなければ、本当にホログラムだとはわからないほどのクオリティですね。

「不気味の谷」は越えたか

中には両手を挙げて喜べない人もいるでしょう。そういった方には、AIこの美空ひばりが不気味に写っているのかもしれませんね。

「不気味の谷現象」は、容姿や声や振る舞いなどを人間に似せていくと、基本的には親近感が増すのだけれど、あるところを境に嫌悪感を感じる不思議な現象のことをいいます。確かに、人間に見えるけど不気味なロボットっていますよね。

AI美空ひばりさんに好感を持てている方がいるということは、この不気味の谷を越えているともいえるでしょうか。歌声、表情、振る舞い。どれも違和感が残っていますが、私にはあまり不気味に感じません。どうやら、最近は人間の方が、違和感のある音声や映像に慣れて、不気味の谷を克服しつつあるという指摘もあるそうです。確かに、もう初音ミクの歌声などには慣れています。

最後に

AI美空ひばりには、驚きと感動がありますよね。そして、未来のことを考えてしまいます。世界的にもテレサ・テンやバディホリーやマリア・カラスがAI技術で復活しているそうです。

AI技術が私たちを感動させる時代がやってきたことを実感しました。AIについてもっと知りたい方は、SBクリエイティブ出版「人工知能解体新書 ゼロからわかる人工知能のしくみと活用」を参考にしてみてください。