2010年代を科学技術で振り返る・前半

日本だけに焦点を当てず、世界レベルで起きた革新的な科学技術の歴史を振り返りたいと思います。さて、早速振り返ってみましょう。

2010年

2月 – バンクーバーオリンピック
5月- 上海万博
6月 – 南アフリカW杯
6月 – はやぶさ (探査機)・小惑星イトカワ
12月 – ジャスミン革命~アラブの春

僕が21歳の大学生の頃ですね。南アフリカW杯では、テレビの中でブブゼラが鳴っていましたね。大学の友人たちとテレビを囲んで観戦していた記憶があります。本田が活躍していましたね。

はやぶさが地球に帰還しました。日本人にとっては嬉しい話ですよね。地球重力圏外にある天体からのサンプル収集に史上初めて成功したのです。当時、ニュースになっていたことも覚えていますね。サンプルリターンというのは、天体からサンプルを採取し地球に持ち帰ることです。1969年のアポロ11号のサンプルリターンが、史上初のサンプルリターンです。この年の年末に上野の国立科学博物館にいったところ、はやぶさのレプリカを本物と勘違いして、写真をたくさん撮った記憶がありますね。かなり浮いていて恥ずかしい思いをしました。

ジャスミン革命が起きたのもこの年でした。当時、私は知りませんでしたが。チュニジアでジャスミン革命がおきていました。チュニジアが名産なジャスミンの花にちなんでジャスミン革命と呼ばれていますね。これがアラブ諸国の民主化運動を連鎖させ、アラブの春と呼ばれることになります。歴史が動いていたんですね。

2011年

2月 – IANAのIPv4アドレスが枯渇(IPアドレス枯渇問題)
2月 – エジプトのムバラク政権が崩壊(アラブの春)
2月 – リビア内戦(反政府vsカダフィ政権)(アラブの春)
3月11日 – 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
4月 – アジア・太平洋地域のAPNICのIPv4アドレスが枯渇した(IPアドレス枯渇問題)
5月 – ウサーマ・ビン・ラーディンがアメリカ軍により殺害
7月 – FIFA女子ワールドカップドイツ大会が開催され、日本女子代表、なでしこジャパン優勝
8月 – カダフィ死去(2011年リビア内戦、アラブの春)。
10月 – 世界人口が70億人
12月 – 北朝鮮の金正日が死去。後継は三男の金正恩。

4月にヘリウムの反物質である反ヘリウムがブルックヘブン国立研究所で発見された。これまでに発見された最も重い反物質です。この時期は、日本は東日本大震災と続く福島原発事故で世界をみている余裕はありませんでしたね。私も計画停電のなか、一人暮らしのアパートで閉じこもっていました。

9月にニュートリノが光速を超えるという誤報事件が起きましたね。長距離ニュートリノ実験としてイタリアでOPERA実験がおこなわれています。ニュートリノの種類が変化するニュートリノ振動という不思議な現象の検証のために行われている実験です。日本からは、名古屋大や東邦大が参加しています。この事件は、OPERA実験で検出したニュートリノの速度が光速を超えてしまったという事件です。実は、GPS受信機からPC内の電子カードへ接続されていた光ファイバーケーブルが緩んでいたことで、60 ナノ秒の遅延が発生していたことが後になってわかりました。追試をしたところ、光速を超えることはないことを無事に確認できたそうです。この事件は、鮮明に覚えています。当時、お世話になっていた物性系の大学教授が「こんなのは絶対にあり得ない」と言っていました。結果的にはその通りだったのですが、言い切れるのがすごいなぁと思っていました。

2012年: CERNがヒッグス粒子を発見

7月 – CERNがヒッグス粒子を発見
7月 – ロンドンオリンピック
前年から続いていたシリアにおける騒乱はアサド政権と反政権に加え、アルカイーダ系組織らの介入やイスラム教における宗派対立(シリア内戦、アラブの春)

ヒッグス粒子が発見されました。標準理論の構成粒子の最後の一つです。いわゆる最後の粒子と呼ばれていた粒子でした。ノーベル物理学賞受賞者のレーダーマンが「神の粒子」というタイトルをつけたことでも有名ですね。

2013年

3月 – 「リーヒ・スミス米国発明法案」の施行。先発明主義から先願主義へ

アメリカの特許が大きく変わった年ですね。ものづくり業界では特許の取得が非常に重要です。複数者が同時に同じことを発明した場合、どちらに特許を得る権利が与えられるかということです。先発明主義が出願日にかかわらず発明した日が早い方が権利を得ることになります。先発明主義では、無駄な出願が減るという利点がありますが、発明日を立証するためのラボノート作成の負担が大きい問題や後になって発明者が現れたりして権利が不安定になる問題などがあります。一方、先願主義では先に特許申請をおこなった者が権利を得ることになります。多くの国が先願主義を採用しており、日本でも1921年に採用されています。アメリカは先願主義への移行がかなり遅かったのです。

2014年

2月 – ソチオリンピック
6月 – ブラジルW杯
6月 – ISIL(IS)がイスラム国家の宣言
8月 – 西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行
9月 – 仁川アジア大会開催された。
11月 – ワン_ワールドトレードセンター

ISILやエボラ出血熱は最近に感じますが、結構前の話なんですね。世界情勢が非常に不安定な年でしたね。

この頃は、大学院生活を頑張っていました。世の中とは完全に離れていましたね。大変な日々でしたが、夜のお笑いラジオ番組に救われていました。大きな研究成果が出た年でもあり、とても記憶に残る日々でした。寿命が数年縮んだ気がしています。

2015年: LIGOが重力波を発見

6月 – アメリカ合衆国の全州で同性結婚が合法化
7月 – NASAが2006年に打ち上げた初の冥王星無人探査機ニュー・ホライズンズが冥王星に最接近
9月 – 北米エリアのARINはIPv4アドレスが枯渇
国際連合が定めたミレニアム開発目標の達成目標年

重力波が観測された年です。「アインシュタイン最後の宿題」などと言われていた重力波の検出にアメリカのLIGOが成功した年ですね。同じく重力波検出を目指している日本のKAGRAについて梶田さんが説明してくださる講演会にいったことを覚えていますね。

最後に

さて、まずは前半2010~2015年でした。こうして振り返ると本当に時間が経つのは早いですね。遠い昔にも感じるし、とても最近にも感じます。

さて、次は2010’s後半をみてみましょう。