【3分でわかる】持続可能な開発目標SDGs【前編】

前回、2000年〜2015年まで実施されたミレニアム開発課題MDGsを学びました。

今回は、いよいよSDGsについて。SDGsと書いて、エスディージーズと読みます。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。詳細は、参考図書にお任せして、この記事では簡単にさらっとみていきたいと思います。

世界がどんな開発目標を目指して動いているのかを知ることは未来を見るということで重要だと言えますね。

1. あらゆる形態の貧困をなくすこと

2030年までに、世界中の極度の貧困を終わらせること、そして各国内のあらゆる次元の貧困を半減させることが第1の目標です。さまざまな形で貧困状態にある人たちが、そうでない人たちと同じように必要な社会サービスを利用し、誰もが本来持っている自分の力を十分に発揮できる仕組みを整えることを目指します。

12030 年までに、現在 1 日 1.25 ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
22030 年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、 女性、子どもの割合を半減させる。
各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年まで に貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
2030 年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、 天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
2030 年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、 気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

どれも正直、なかなか身近に思えないです。1番について、日給1.25ドルで生活する人々の貧困は本当に無くして欲しいですね。具体的な開発はどのようなことをするのでしょうか。個人的な寄付ぐらいしか考えつかないです。現地の開発で雇用増大とかなのでしょうか。

2. 飢餓をなくすこと

2030年までに飢餓をなくすこと、特に子どもたちや脆弱な立場にある人たちが年間を通して安全で栄養のある食料を得られることを目指します。
そのなかで、生物多様性や環境・資源を守り、自然災害にも負けない持続可能な農業を進めていくことも目標に含まれています。

12030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
25歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年、女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2030 年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

生物多様性の維持というのは、今回新たにでてきた課題ですね。MDGsからSDGsで、人類だけでなく動植物や自然環境に関する課題が増えた印象がありますね。

3. 誰もが健康に安心して暮らせること

妊産婦や新生児、5歳未満児の死亡率を大きく減らし、予防可能な病気で命を落とすことのない世界を目指します。またHIV/エイズなどの感染症や、水によって感染する病気などの流行を終わらせます。そして、誰もが質の高い医療保健サービスを利用できること(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)、必要な薬やワクチンを得られること、また化学物質による大気・土壌・水質の汚染や交通事故を減らすことを実現します。

12030 年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生 10 万人当たり 70 人未満に削減する。
2すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生 1,000 件中 12 件以下まで減らし、5 歳以 下死亡率を少なくとも出生 1,000 件中 25 件以下まで減らすことを目指し、2030 年ま でに、新生児及び 5 歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
2030 年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるよう にする。
すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
2030 年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

6番の交通事故に関しては、自動運転車が整理されると大きく目標に近づけるでしょうか。

4. 平等で質の高い教育

2030年までにすべての子どもたちが、性別に関係なく平等で質の高い初等教育・中等教育を修了できるようにします。就学前教育や高等教育、若者や大人の職業訓練へのアクセス確保も必要です。誰もが安心して学ぶことのできる学習環境の整備も明記されています。

12030 年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
22030 年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
2030 年までに、すべての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
2030 年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
2030 年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。
2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

MDGsが初等教育に絞っていたのに対して、今回は中等教育まで幅を広げています。また就業前教育、高等教育、職業訓練の拡充も目標になっていますね。

5. ジェンダーの平等

女性や女の子に対する、人身取引・強制結婚・児童労働などを含むあらゆる形態の暴力や差別を撤廃します。また、女性が政治・経済の意思決定に参加すること、妊娠と出産に関する女性の権利を守ることなど、ジェンダーの平等(すべての人が性を理由に差別されないこと)を促進する政策や法律を導入・強化することが求められています。

1あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
2人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
7子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。

ジェンダーの問題も引き続きですね。

6. 清潔な水と衛生

2030年までに、すべての人が安全で安価な水を得られること、そして適切な下水や衛生設備にアクセスできることを目指します。また、水質管理や水の再利用に取り組むとともに、水や衛生環境の改善に地域社会が積極的に取り組むよう支援します。

12030 年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
22030 年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
2030 年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
2030 年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
2020 年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。

6番に水源や環境の保護が加わっているのが印象的ですね。

続きは、次の記事で!