ワイヤレス給電技術の参考書おすすめ5選【WPT】

「ワイヤレス給電について学びたいけどおすすめの参考書はあるかなぁ」

そんな悩みを解消します。

今回はワイヤレス給電について学べるおすすめ参考書を紹介します。スマートフォンなどワイヤレス給電技術が少しずつ身近になっていますよね。

なお、僕(@おとな理科のおたれ)の物理学の勉強歴は13年ほど。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。こういったバックグラウンドなので、記事の信頼性が担保できるかと思います。

それではいきましょう!

ワイヤレス給電技術の参考書おすすめ5選

ワイヤレス給電技術入門(クライソン・トロンナムチャイ&廣田幸嗣 、2017)
ワイヤレス給電技術入門

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入門者におすすめの本です。日産研究所で活躍されている二人の著者がワイヤレス給電技術の全体を解説してくれています。各ページに話題が一つあり、見易くわかりやすい解説です。

数式やフェーザ図を用いた解説もありますが、詳細な導出などを避けてわかりやすさを重視している印象です。(技術者の方は、詳細な数式の導出などは他の本や論文で補いましょう)フォントやグラフも丁寧な編集がされており、見易さもNo.1です。入門者に最適な教科書といえます。

扱う範囲もバランスがよく、電磁気学の基本的なトピックスから、各ワイヤレス給電方式(電磁誘導式、磁界結合式、電界結合式、電磁波式など)について利点や欠点をわかりやすく解説してくれています。また、わかりにくい規格などもまとめてくれています。

磁界共鳴によるワイヤレス電力伝送(居村 岳広、2017)
磁界共鳴によるワイヤレス電力伝送

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磁界共鳴方式に焦点を当てた教科書です。電磁誘導式や磁界共鳴式のワイヤレス給電を勉強したい方に強くおすすめする教科書です。

式の導出も綺麗にまとめられているほか、回路のパターンごとに効率計算などをおこないます。設計を始めると必要になってくる効率計算が丁寧に描かれています。また、設計においては様々な制約のもとで、最適化をおこなうと思います。この参考書の付録にある、各設計パラメータを振ったときの物理量の変化をまとめたグラフは非常に有意義です。

タイトルの通り電界共振や電磁波式の解説はありませんが、磁界を利用したワイヤレス給電を学びたい方には最強の一冊です。

電界磁界結合型ワイヤレス給電技術 (篠原 真毅、2014)
電界磁界結合型ワイヤレス給電技術 -電磁誘導・共鳴送電の理論と応用- (設計技術シリーズ)

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結合型のワイヤレス給電技術について最も丁寧に説明をしている本です。数式の導出も丁寧でわかりやすいです。

本質的な理解を求められるので、そもそも磁界結合と電界結合の境目がないことなど上級者に求められる視点が解説されています。また、基本から導出していくスタイルですので、やや複雑に見えるかもしれません。中級〜上級者向けの本で言えると思います。

具体的な設計の方法や演習問題なども充実しており、技術者必携の本ともいえるでしょう。

ワイヤレス給電技術がわかる本(松木 英敏 & 高橋 俊輔、2011)
ワイヤレス給電技術がわかる本

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バランスの良い入門書です。応用例として各企業の事例がまとめられているので、応用先を考えるのに有用だと思います。10年ほど前の本ですが、当時期待されていた事業がどのような遍歴を辿ったのか、ワイヤレス給電業界を研究したい方におすすめの本です。

もちろん、基礎的な各給電方法についても丁寧な解説があります。図やレイアウトなどもみやすいです。この本では磁界共鳴型について、kQ積をαとおいた表記を用いています。

ワイヤレス給電技術(篠原 真毅 & 小紫 公也、 2013)
ワイヤレス給電技術 -電磁誘導・共鳴送電からマイクロ波送電まで- (設計技術シリーズ)

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電磁誘導式、磁界結合式についても解説がありますが、本の大半は電磁波式のワイヤレス給電に特化しています。レイアウトや図がややビジーな印象ですが、それだけ情報が詰め込まれているともいえます。電磁波式のワイヤレス給電を学びたい方にはおすすめの一冊です。

磁界結合方式の効率を表す式の導出がわかりやすいです。「ワイヤレス給電技術入門」と効率表記が同じ(指標関数:kQ積を用いた表現)なので、磁界結合式を学ぶ方も読んでみると理解が進むと思います。

最後に

ワイヤレス給電は近年急速に成長している技術です。今回はワイヤレス給電技術について紹介しました。自分にあった参考書を見つけていただければ幸いです!