「超伝導ってワクワクする!でも難しそうだし、よくわからないなぁ。楽しみながら超伝導について学ぶことはできないかなぁ」
そんな悩みを解決します。
今回は「超伝導カードゲーム」について紹介します。低温の世界には、超伝導という不思議な現象があります。僕らが生活する世界よりもはるかに低い温度の世界です。絶対温度で、数ケルビンの世界です。そこでは、摩訶不思議な「超伝導」という現象があります。
そして、そんな不思議な世界を身近に感じさせてくれる面白そうなゲームが物理系Vtuberの固体量子さんが考案した『超伝導カードゲーム』です。今回は超伝導を学びながら、このカードゲームについて紹介したいと思います。
僕の物理学の勉強歴は12年ほど。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。男子と自称していいのかは微妙ですが、多めにみてください。
そもそも超伝導ってなんだ?
超伝導とは、低温に冷やすと電気抵抗がゼロになるという驚きの現象です。「超」という文字があることからわかるように、“超”すごい現象です。
そのすごい現象は、私たちの生活でも役に立っています。主な利用目的は2つ①省エネと②強い磁場の発生です。
物質に電流を流すと、その物質の抵抗に応じて発熱します(この発熱はジュール熱と呼ばれる)。この発熱はエネルギーを無駄遣いしてしまう。そのため、電気抵抗がゼロであれば、エネルギーを消費しません。つまり、電気抵抗がゼロの超伝導体は省エネな電流輸送ができるのです。
また、強磁場発生にも役立っています。金属線で作ったコイルは発熱が問題になるのです。大きな電流を流すと発熱が大きく焼け焦げてしまうので、発生できる磁場には限度があります。ところが、抵抗がゼロの超伝導体は発熱が小さいため、大電流を流すことができるようになります。そのため、マグネットに利用すると、超伝導技術でとんでもなく強い磁場を発生させられるのです。
超伝導技術が利用されている例にリニアモーターカーがあります。JR東海が開発しているリニアモーターカーが東京〜大阪間をつなぐための建築をしているのも知っているだろう。リニアモーターカーでは車両を浮かすために、超伝導技術が使われています
また、病院でMRIという装置にお世話になった人もいるでしょう。強磁場が必要なため、MRIでも超伝導技術が利用されているのです。
このほか、最先端科学では、核磁気共鳴装置(NMR)や加速器などでも、超伝導技術はなくてはならない技術になっています。
この「超」すごい現象に、私たちは意外とお世話になっているのです。
使えるカードは温度で制限される!パワーは論文引用数!
さて、『超伝導カードゲーム』の話にうつりましょう。固体量子さん自らの説明がYoutubeにあります。
実は、超伝導といってもとても多くの種類があります。例えば、元素でいえば超伝導にならないものの方が少ないほどです。このカードゲームでは、そんな数多くの超伝導物質を学ぶことができるのです。
プレイヤーは手札に超伝導体カードを持ち、各ターンでその中から1枚の超伝導体を場に置きます。そして、そのターンで一番パワーが大きいカードを出したものが、そのターンの勝利者となるのです。それぞれの超伝導体発見論文が現実世界でどれだけ引用されたかという論文引用数がパワーを決めます。多くの引用数がある重要な超伝導物資ほど、このゲームでは強いのです。
しかし、強いからといってどんなカードでも出せるわけではないのです。各ターンのはじめに、温度カードがめくられます。超伝導体は低温に冷やさなければ超伝導状態にならないが、その超伝導物質になる温度(臨界温度 Tc)は種類によって様々です。そのターンの温度カードに応じた超伝導カードをだす必要があるのです。
ちなみに、特殊カードも超伝導や研究に因んで作られており、コテコテの理系カードゲームになっています。
ちなみに、僕は実用されている超伝導体が好きですね。ということで、僕の一押しはニオブチタン(NbTi)です。
カードゲームを入手!
ついに入手しました。超伝導カードゲームはブルーバックスアウトリーチというクラウドファウンディングを利用してサポーターを募集していました。私もサポーターとしてカードゲームを頂くことができました。(コロナウイルス感染拡大の影響によって、カードゲーム制作にも影響がでていたようです。ご尽力のなか届けていただきありがとうございます!)
カードゲームを広げるとカラフルな色と綺麗なグラフィックやイラストで、とても素敵なデザインでした。カードの質感も好きです。
一枚一枚のカードには、固体量子さんの解説がついています。そして、解説が面白いのです。まずはプレイの前にコメントを見て、学んだり、にやけたりするところから始まります。これなら、見ているだけでももとが取れたかもしれません。
これから、遊んでいきたいと思います。
また、作成者の固体量子さんのYoutubeの動画がおすすめです。一般向けに超伝導についての解説動画もあります。また、マニアックな最新研究を紹介する動画もあり、学会でしか話されないような最先端な話をYoutubeで聞くことができるます。とても刺激的ですね。固体量子さんのYoutubeチャンネル
最後に
ゲームっていうのは、学びのきっかけとして最高だと思います。
この超伝導カードゲームは、ちょっとマニアックで日常では出会えないような超伝導体とも出会えるでしょう。もしかすると、数年後のノーベル賞発表で「あーこの物質知っている!」となんてことがあるかもしれませんね。
そして、個人的には、理系ゲームがこの世にもっとあったらいいのにと思います。
例えば、僕の子供の頃は初代ポケモンが全盛期でした。何も考えず、151種のポケモンをただただ覚えました。それが、中学生になって「バタフリー」「サンド」「フリーザー」などというポケモンの名前が英単語に由来していることに気づいたものです。そして少し嬉しくなり、英単語が身近に感じたのでした。
理系のゲームがあれば、やっぱり理科に親しみが湧くと思うのです。もっと理系ゲームがあったらいいのに!
この記事は以下を参考に作成しました。[1]固体量子さんの解説ページ「VTuberが教えます! 世界一わかりやすい「超伝導」講座」と[2]大嶋重利. “これ 1 冊でわかる超伝導実用技術, 未踏科学技術協会超伝導科学技術研究会 (編著), 日刊工業新聞社, 2013-02, A5 判, ” 電子情報通信学会誌 96.8 (2013): 666.
固体量子さん、記事作成を快諾して頂きありがとうございました。応援しています!