『アポロ11』で学ぶアポロ計画【りかシネマ】

「映画もあるみたいだけど、アポロ計画についてよく知らないなぁ。誰か教えてくれないかなぁ。」

そんな悩みを解消します!

今回はアポロ計画について紹介します。世界が注目した大プロジェクトですが、意外と知らないことも多いですよね。アポロ計画について映画をみながら学んでみましょう。

なお、僕の物理学の勉強歴は12年ほど。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。こういったバックグラウンドなので、記事の信頼性が担保できるかと思います。

それではみていきましょう!

『アポロ11』で学ぶアポロ計画

アポロ計画とはアメリカ航空宇宙局( NASA)による人類初の月への有人宇宙飛行計画です。アメリカとソ連が宇宙開発を競う中で、1969年にアポロ11号が有人月面着陸に成功します。

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50周年となる2019年に「アポロ11」として映画化されました。4Kリマスターした映像と音声で構成した映画です。打ち上げ管制センターの様子や宇宙飛行士たちが宇宙服を着用していく姿、そしてミッション完了後の回収船の様子がわかります。アポロ計画全体ではなく、アポロ11号の打ち上げ〜ミッション完了までを描いた作品です。

アポロ計画とはなんだったのか

「アポロ11」を観る前にアポロ計画について知っておきましょう。月へいったこと以外に「アポロ計画」について知らないという人も多いのではないでしょうか。確かに意外と知らないことが多いですよね。今回はアポロ計画の概要について紹介します。

きっかけはスプートニク・ショックです。

スプートニク・ショック

冷戦の最中の1957年、ソ連は世界初の人工衛星となるスプートニク1号を打ち上げました。ソ連は世界中を驚かせ、人々の不安を煽りました。ソ連には大陸間の距離を越えて核兵器を打ち込める能力があることを証明して見せたのです。

ガガーリンの衝撃

アメリカのアイゼンハワー大統領は国家航空宇宙局(NASA)を創設し、人を地球周回軌道に乗せることを目指す「マーキュリー計画」に着手しました。しかし、1961年にソ連の宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンが世界で最初に宇宙を飛行し、初めて軌道上で地球を周回した人物となりました。

ケネディの演説

このような状況の中で、ガガーリンが飛行した1961年にアメリカのJ.F.ケネディ大統領はアメリカ議会で「この60年代が終わるまでに人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させるという目標を達成することに我が国民が真剣に取り組むべきであると信ずる」という演説をします。

人間を月に着陸させるための取り組みは「アポロ計画(Project Apollo)」と名付けられました。

アポロ11号だけじゃない有人月面着陸

アポロ11号の月面着陸が有名ですが、実はその後のアポロ12号、14号、15号、16号、17号で全6回の月面着陸に成功しているのです。例えば、月面車に乗っている映像を見ることがありますが、これはアポロ11号ではなく15~17号の映像です。

アポロ11号

続いてはいよいよアポロ11号について紹介します。よく知っているはずのアポロ11号ですが、やはり知らないことも多かったです。これを知っておけば、映画ももっと楽しくみられるのではないでしょうか。

実はアポロ11号の宇宙飛行士はたった3人だったのです!

たった3名の宇宙飛行士

最も有名な宇宙飛行士であるニール・アームストロング、マイケル・コリンズ、バズ・オルドリンの3人が宇宙飛行へ出発しました。

月周回軌道をコロンビア号から月面着陸船イーグル号を切り離します。コリンズは月周回軌道のコロンビア号に残り、アームストロングとオルドリンが月へとイーグル号で着陸します。実は、月にたったのはアームストロングとオルドリンの2名だったのですね。

オルドリンは“あのキャラクター”の名前の由来

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人気アニメーション映画のトイストーリーに登場するバズ・ライトイヤーですが、この「バズ」はバズ・オルドリンからとった名前です。

ちなみにこの「バズ」ですが、面白いエピソードがあります。実はオルドリンの生誕時の名前はエドウィン・ユージン・オルドリン・ジュニアであり、「バス」という名前はありません。オルドリンがまだ子供の頃、姉がオルドリンのことを「ブラザー」と言うべきところが「ブザー」と言っているようにしか聞こえなかったそうです。その後もからかい半分で繰り返し呼ばれるなかで、やがて「バズ」となり、あだ名として定着したそうです。ついに本人も公私を問わず署名の際に使用するようになったそうです。最終的にオルドリンはこの通名「バズ・オルドリン」の方を法的に正式名としたそうです。

さて次は、宇宙船の方式についても学びましょう!

月周回ランデブー方式

月周回ランデブー方式とは、宇宙船をまとめて1つのロケット「サターンV」で打ち上げるという方式です。着陸船が月面で活動している間、司令船は月周回軌道上に残ります。その後、活動を終えた着陸船と月周回軌道上で再びドッキングする方式です。他にも直接降下方式、地球周回軌道ランデブー方式、月面ランデブー方式が検討されましたが、月周回ランデブー方式が採用されました。他の方式と比較すると、月周回ランデブー方式は大きな着陸船を必要とせず、そのため月面から帰還する宇宙船の重量を最小限に抑えることができるという利点があります。「月周回ランデブー方式」という単語を知っていると、アポロ通な感じがしますね。

ところで、アポロには疑惑があったのをご存知でしょうか。

アポロ疑惑と月周回衛星「かぐや」

「アポロ疑惑」というのが有名でした。僕が子供だった2000年代はじめ、テレビ番組などで、アポロ計画の映像は地上で撮影された映像だという疑惑がよく取り上げられていました。影の向きやアメリカの星条旗の揺れ方が不自然だというものでした。不自然な点を並べられると確かに怪しくみえるもので、もしかしたらアポロは月へ行っていなかったのかもしれないと僕も思ってしまいましたね。

しかし、このアポロ疑惑ですが、最近は全く聞かなくなりましね。なぜかというと、「アポロ疑惑」を日本の衛星「かぐや」が晴らしたからなのです。

衛星「かぐや」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星です。アポロ計画以降、最大の月探査計画です。主衛星と2機の子衛星で構成され、14種類の観測機器を搭載していた。2007年に打ち上げられ見事に月周回軌道に乗りました。1年半の間、様々な観測を行なったのち、2009年に制御落下しています。ここでアポロ15号が着陸した痕跡が見つかりました。日本の技術が、「アポロ疑惑」の疑念を取り除いたというのは嬉しいことですね。

最後に

今回はアポロ計画について紹介しました。実は知らないことも多いですよね。そして、映画「アポロ11」は当時の映像をリマスターして使っているもので、必見の映画です。ドキュメンタリーなので過剰な演出もないですが、小さいトラブルへの対処や緊張感など実際の映像ならではの情報もたくさんありました。

ぜひ、アポロ計画について学ぶきっかけにしてみてはいかがでしょうか!