「地磁気ってなんだろう?チバニアンと関係あるの?誰か簡単に教えてくれないかなぁ」
そんな悩みを解消します!
今回紹介するのは地磁気です。地磁気とは自然に存在する磁場で、方位磁針で方位を確認するときに利用されますね。プレートテクトニクスの解明において非常に重要な証拠になったのは地磁気でした。また、最近話題のチバニアンも地磁気の変化がポイントでした。
なお、僕(@おとな理科のおたれ)の物理学の勉強歴は13年ほど。研究者として生計を立てつつ、サイエンス・エバンジェリストとして科学技術を世間に伝えるための教育活動もしています。こういったバックグラウンドなので、記事の信頼性が担保できるかと思います。
それではいきましょう!
簡単にわかる「地磁気」
方位磁石が北をさすのは地球が磁場をもっているからです。地球の磁場のおもな部分は地球内部でつくられています。また磁気嵐など地球外部からの磁場も存在する。これらをあわせて地磁気といいます。
非常に弱い磁場
地磁気は非常に弱い磁場です。磁石をおいていても勝手に北を向くことはありません。方位磁針は回転軸を固定し、小さな力でも針が回転するように工夫されています。その大きさは日本では 5×104 nTです。日常的にはほとんど感じられないほどの弱い磁場です。ちなみに緯度が高いほど磁場は強くなります。
地球ダイナモ理論
地磁気の発生メカニズムについては「地球ダイナモ理論」が知られています。ダイナモとは発電機のことです。地球の核で高温の液体になった金属が対流していますが、これが地磁気を生み出しているという理論です。
地磁気逆転
なんと地磁気は逆転を繰り返しています。
最近の地磁気反転は78万年前です。地磁気逆転の平均的な期間は約30万年であり、すでに平均の2倍ほど長い期間逆転していません。でも心配しなくても良さそうです、かつては「白亜紀スーパークロン」と呼ばれる地磁気が変化しなかった期間ではなんと約3000万年も地磁気が変化しなかったそうなのです。
ブリュンというフランス人が世界で初めて「地磁気が現在と逆を向いていたことがあった」ことを発見しました。そして、日本人の松山基範が「最後の地磁気逆転がいつごろか見積もった」のです。
磁気反転の証人は「岩石」
地磁気の変化はどのようにしてわかるのでしょうか。その証拠は岩石です。岩石には磁化をもつものがあります。これらは磁性鉱物とよばれ、磁鉄鋼などが有名です。実はこれらの鉱物はマグマの中では高温すぎて磁性をもっていません。ところが、
熱磁化曲線(Js-Tカーブ)
強磁性体は加熱によりある温度に達すると磁性を失います。この温度を発見者のピエール・キュリーにちなみ「キュリー点 」といいます。一方、磁場中で強磁性体を冷却するとキュリー温度以下では磁化が生じます。 磁性鉱物は磁鉄鉱のほかにも数多く存在し、それらの集合体としての岩石全体では複雑な熱磁化曲線になります。 地球では内部にいくほど高温になるため地殻の岩石のみが磁化しえます。ちなみに、地磁気への影響はほとんどありません。104 nTに達する地磁気に対して、地殻の磁化による磁場はたかだか102 nTです。
玄武洞
松山は玄武洞玄武岩の逆磁極を発見し、朝鮮や満州も含めた広い地域で同じ時代に地磁気が逆転していた証拠を集めました。
チバニアン
「チバニアン」とは、千葉県市原市の養老川沿いにある「千葉セクション」とよばれる地層で発見により明らかになった地質時代のことです。2020年1月に地層時代の名前に決まりました。地層時代では「ジュラ紀」「白亜紀」などが有名ですが、日本の地名にゆかりのある名前がつくのは嬉しいことですね。もっとも新しい地磁気逆転の証拠が千葉セクションから見つかったのです。
地磁気は「今も変化している」
なんと地磁気は今も変化しているのです。赤道における地磁気の強さがどのように変化しているかを調べた研究結果です。この100年の間でも10%近く変化している様子がわかります。
また、太陽風の磁気嵐など地球外の要因によっても変動します。この変動は毎日様子が変わっていますから、かなり複雑な変化となります。
地磁気を嫌う人も多いです。なぜかといえば、日々環境が変化してしまうなど、精密試験などでは邪魔な存在だからです。
最後に
今回は地磁気について紹介しました。このように地球の歴史を知ることができたりするので面白いですね!